研究概要 |
NK細胞による異種グラフトの攻撃に糖鎖構造が関係するかどうかを調べた。 ブタ血管内皮細胞のline(SEC)に、N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT-III),α2,3シアリルトランスフェラーゼ(α2,3ST),α1,2フコシルトランスフェラーゼ(α1,2FT)をトランスフェクションし、それぞれにstableなlineを得た。Parental SECに比しGnT-III,α2,3ST,α1,2FTのtransfectantでは、ヒト血清,α1,3Galactosyl epitopeを認識する1B4レクチンに対して有意に反応性の低下を示した。 これらのSECをターゲットとし、ヒト末梢血中のNK細胞(PBL)とNK由来のcell lineを反応させたところ、末梢血中のNK細胞は直接ブタ血管内皮細胞を認識し、細胞傷害を加えた。また、Parental SECに比し、GnT-III,α2,3ST,α1,2FTのtransfectantでは末梢血中NK細胞による有意な細胞障害率に低下を見た。同じくtransfectantではYT細胞(NK細胞)による有意な細胞障害率に低下を見た。このSECに対するNK細胞による細胞傷害活性は1B4レクチンおよびmAb-M86で有意に低下した。 ブタからヒトへの異種移植において、NK細胞のターゲットにブタ細胞表面の糖鎖構造、特にα1,3Galactosyl epitopeが関係する事が示唆された。
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