研究課題/領域番号 |
10180101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永井 美之 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20022874)
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研究分担者 |
足立 昭夫 徳島大学, 医学部, 教授 (90127043)
岡本 尚 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40146600)
高橋 秀宗 国立感染症研究所, 主任研究員 (70260271)
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
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キーワード | HIV-1 / gp41 / Nef / NF-κB / 阻害剤 / RANTES / サル細胞 |
研究概要 |
本研究は、HIV-1のライフサイクルの素過程の解明を目的とし、とくに関与する宿主因子の同定と関与の実際のメカニズムの解明に力点をおいている。本年度はHIV-1のEnv蛋白gp41サブユニットの3'末端部分は細胞特異的にEnvのウイルス粒子へのとりこみを制御すること、NefのMHC-Iをdown regulateする能力は、同じNefの感染性維持やCD4をdown regulateする能力とは互いに独立していることを明らかにした。さらに、侵入過程をバイパスさせることのできるヒトとサル細胞を使用してHIV-1感染成立過程を解析、両細胞において、ウイルスDNAの染色体への組み込み以降の差は認められないが、侵入と組み込みの間にあるステップを制御するウイルス必須のヒト細胞因子の存在を示唆した。HIV-1粒子吸着により、一部のCD4+細胞サブセット(CD4+/CD38-/CD45RO+/CD45RA-)がエフェクター活性を獲得し、これが周囲の非感染CD4+およびCD8+T細胞をアポトーシスに導くことを明らかにした。感染者でもこの分画がアポトーシスを制御していることが示唆された。さらに、樹状細胞においても同様のエフェクター活性を保持することを明らかにした。一方、HIV-1のNF-κB依存転写をRel Aとの相互作用を介して制御する新規物質、Rel A-associated inhibitorを発見すると共に、Rel Aに結合する別の因子(Groucho family蛋白)も同定した。加えて、HIV-1制御ケモカインのひとつであるRANTESのプロモータ領域の特定の塩基置換がエイズ発症を遅延させるとこを示唆した。また、タイにおけるHIV-1 E型のV3領域の遺伝子配列を1995年から1997年にわたり追跡し、そのdiversityが1993年から拡大していることを明らかにした。
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