転写調節による造血分化制御

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10181102
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 仲野 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00172370)
• 研究分担者: 平井 久丸 東京大学, 医学部, 助教授 (90181130) ; 北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520) ; 山本 雅之 筑波大学, TARAセンター, 教授 (50166823) ; 田中 信之 東京大学, 医学部, 助教授 (80222115) ; 小守 壽文 大阪大学, 医学部, 助手 (00252677)
• キーワード: 造血幹細胞 / 転写因子 / 細胞分化 / 赤血球 / 白血球 / 白血病

研究概要

造血細胞分化に関与する遺伝子群の機能について、造血に関与する転写因子の調節を中心に解析を行った。仲野は、血液細胞分化に必須な転写因子であるGATA転写因子群とc-Mybの相互作用における解析を行い、これらの転写因子が直接に結合すること、機能を相互に抑制すること、そして、その機能抑制は転写の仲介因子であるCBPを介することを明らかにした。山本は、GATA-1遺伝子の血球特異的な発現制御領域(GATA-1造血エンハンサー)にGATA配列が存在すること,また,GATA-1の発現が同配列を介してGATA因子群により制御されていることを明らかにした。北村はmi遺伝子座のbasic領域の3種のミュウタントを比較して、各々のmi遺伝子によっつて作られるMITFの異常の程度と培養マスト細胞のphenotypeの異常の程度は相関することを示した。平井は、Evi-1/Smad3/CtBP2複合体の中にはヒストン脱アセチル化酵素(HDAC1)が含まれ、これはCtBP2がヒストン脱アセチル化酵素と直接会合することによることを明らかにし、CtBP2がヒストン脱アセチル化酵素をリクルートすることによってSmad3複合体の転写活性を抑制し、TGFbシグナルを抑制することを示した。小守は、培養細胞を用いた研究から、Cbfa1が軟骨細胞分化にも重要な因子であることが明らかとした。田中は、p53により制御されるBCL-2ファミリーの遺伝子をクローニングし、その機能解析を行った。

研究成果

• [文献書誌] N. Motoyama, T. Kimura, T. Takahashi, T. Watanabe, T. Nakano: "bcl-x Prevents Apoptotic Cell Death of Both Primitive and Definitive Erythrocytes at the End of Maturation"J Exp Med. 189. 1691-1698 (1999)
• [文献書誌] T. Era, T. Takahashi, Y. Takagi, T. Nakano: "Characterization of hematopoietic lineage specific gene expression by ES cell in vitro differentiation induction system"BLOOD. 95. 870-878 (2000)
• [文献書誌] S. Nishimura, S. Takahashi, T. Kuroha, T. Nagasawa, M. Yamamoto: "A GATA box in the GATA-1 gene hematopoietic enhancer is a critical element in the network of GATA factors and sites that regulate this gene"Mol Cell Biol. 20. 713-723 (2000)
• [文献書誌] A. Ito, E. Morii, D. K. Kim, T. Jippo T, K. Maeyama K, H. Nojima H, Y. Kitamura: "Inhibitory effect of the transcription factor encoded by the mi mutant allele in cultured mast cells of mice"BLOOD. 93. 1189-1196 (1999)
• [文献書誌] K. Maki, K. Mitani, T. Yamagata, Y. Kanda, Y Yazaki, H. Hirai: "Transcriptional inhibition of p53 by the MLL/MEN chimeric protein found in myeloid leukemia"BLOOD. 93. 3216-3224 (1999)
• [文献書誌] H. Enomoto, M. Enomoto-Iwamoto, Y. Kitamura, T. Kishimoto, T. Komori: "Cbfa1 is a positive regulatory factor in chondrocyte maturation"J. Biol. Chem. (in press). (2000)