研究概要 |
c-myb,PEBP2(=AMLl)遺伝子を欠損するマウスでは、卵黄嚢におけるプリミティブな造血能は傷害を受けないが、胎仔肝におけるデフィニティブな造血能が全く発生せず、胎令12.5日で死亡することが、我々を含めた幾つかの研究グループにより示されている。一方近年、デフィニティブな造血前駆細胞は卵黄嚢よりは遅く、しかし肝よりは早く、AGM(aorta,gonad and mesonephros)領域に発生することが判明した。9.5,11.5日令のマウス胎仔のAGM領域を細胞培養することにより、血球細胞をin vitroで発生・増殖できる系を遺伝子破壊マウスに適用し、次の2点を明らかにした。即ち、1)c-myb(-/-)またはAML1(-/-)胎仔肝におけるデフィニティブな造血の欠如は、本来なら肝に先行してAGM領域に局在するはずの、造血前駆細胞の傷害によるものである。2)AGMにおいて造血前駆細胞は、PEBP2(=AML1)転写因子の量に依存して発生・増殖する。
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