マウスのストローマ細胞株MS-5は、ストローマ依存性多能性幹細胞株Myl-D-7の自己複製を支持する未知の機構を備えている。この機構の解明を目指し、平成10年度に、以下のことを行った。 1。 ストローマ細胞株MS-5より得たの仏をレトロウイルスベクターに挿入し、ライブラリーを作成した。 2。 このcDNAライブラリーをパッケージング細胞を介して、ストローマ依存性株Myl-D-7に遺伝子導入し、非依存性変異株を単離した。 3。 しかし、単離した非依存性変異株の解析では、非特異的バックグランドが高いこと、cDNAの回収率が低いことにより、機構の解明に及ばなかった。 4。 そこで、ベクターに以下の改変を行った。(1)ベクターに、バクテリオファージ由来のloxPの遺伝子配列を挿入した。(2)ベクター内にバクテリアでの選択薬剤耐性遺伝子を挿入した。 5。 この改変したベクターを用いれば、(1)バクテリオファージのloxP/CREの系が応用可能である。単離した非依存性変異株より、loxP/CREの系による挿入cDNAの排斥、復帰変異株の再分離が可能である。復帰変異株分離による、バックグランドの低減化が期待できる。(2)挿入したバクテリアでの選択薬剤耐性遺伝子を用いて、ゲノムDNAからの回収率の向上が期待できる。 6。 改変したベクターを用いて、再度、機構の解明を試みる予定である。
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