研究課題
ミトコンドリア機能を統御する遺伝子の単離と解析これまでに、シロイヌナズナの突然変異体の解析や酵母の相補系などを用いて、ミトコンドリアゲノムの維持や、タンパク質複合体の形成に重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子を単離・解析してきた。今年度は、シロイヌナズナでミトコンドリアtRNA^<met>のアミノアシル-tRNAシンセターゼ(Met-RS)をコードする遺伝子を解析した。ESTクローンの解析では、Met-RSと思われる原核型のcDNAは1種類のみで、シロイヌナズナの核ゲノムには1コピーしか存在していないと考えられた。GFPなどの解析から、このMet-RSは葉緑体とミトコンドリアの両方にソートされ、両オルガネラで機能していると考えられた。シロイヌナズナのミトコンドリアゲノムには、葉緑体由来のtRNA^<met>が使われており、葉緑体型のMet-RSがミトコンドリア内で機能している点との関連性が示唆された。器官形成におけるミトコンドリアの動態ミトコンドリアをin vivoで観察するために、GFPよって可視化し、器官形成におけるその動態を観察することを試みている。これまでに、シロイヌナズナのミトコンドリアF1-ATPaseのサブユニット遺伝子(ATPδ及びATPδ')のpresequenceとGFP遺伝子を融合したキメラ遺伝子を構築し、GFPタンパク質がミトコンドリアへ局在することをトランジェントな系で確認した。今年度は、これらの融合遺伝子を導入したトランスジェニック植物をシロイヌナズナ及びイネを用いて作成し、これらの個体におけるミトコンドリアの動態を観察した。
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