1. 遺伝子タギング系を用いた突然変異体ライブラリーの作成。 ニセツリガネゴケは相同的組換率が高いため、非相同断片を形質転換するよりも、コケゲノム由来の相同断片を形質転換した方が10倍程度、安定形質転換体が得られる率が高い。そこで、大腸菌をホストとしてニセツリガネゴケゲノミックライブラリーを作成し、NPTII遺伝子をマーカーとして持つTn3トランスポゾンを、大腸菌内でニセツリガネゴケゲノムDNAに挿入し、それを再び、ニセツリガネゴゲに形質転換し、相同組換えを引き起こすことにより、突然変異体ライブラリーを作成する系を構築した。現在、週200ラインのペースで安定形質転換体が得られており、形態異常の変異体をスクリーニングしている。これまで、2000変異体が得られているが、茎頂分裂組織に異常のあるものが多数得られている。Tn3のコンストラクトを変えることにより、ジーントラップ、エンハンサートラップができるような系を構築した。これまで、ジーントラップ系で、30ラインが得られ、原糸体、若い茎葉体、茎葉体茎頂で発現しているものが得られている。 2. KNOX、HD-ZIP、AP2、MADS、LFYのコケホモログの解析。 KNOXホモログ(PpKNOX)を1個、HD-Zipホモログ(PpHD-Zip)を9個、AP2ホモログ(PpANT)を2個、MADSホモログ(PpMADS)を3個、LFYホモログ(PpLFY)を1個単離し、ノザン解析により発現様式を解析した。3つのMADS遺伝子および、茎葉体特異的に発現している3つのPpHD-Zipを遺伝子破壊した。PpKNOXは遺伝子破壊体が得られなかった。現在、他の遺伝子についても遺伝子破壊実験を行っている。
|