研究概要 |
本年度は研究初年度に当たり,次年度以降の研究遂行へ向けた予備調査及びデータ収集を中心に取り組んだ. 1) 空間データのデータ形式と投影法の利用実態の調査 研究者の間で実際にどのようなデータ形式や投影法,空間集計単位等が用いられているのかを,主にヒアリング等を通じて調査した.その結果,ポリゴンデータの場合,利用されているデータ形式や投影法は比較的限られているが,ラスターデータの場合には極めて多様なデータ形式が存在することが明らかになった.従って,特にラスターデータについて,データ交換・管理システムにおいて対応するデータ形式とその対応方法を今後検討する必要があると言える. 2) 相互変換方法の調査 データ形式や投影法を変換する手法のうち,既に流通しているシステムでどの程度実用化されているのかを調査した.その結果,投影法については,市販のGISにおいてほぼ標準的に変換プログラムが提供されているものの,データ形式変換については研究者がその都度プログラムを作成している場合が多いことが明らかになった.これは,本研究において開発するデータ交換・管理・共用システムが研究者の研究遂行に非常に役立つであろうことを示唆している. 3) 空間データベースの整備 人文社会科学,特に,他の研究班において共通に用いられる空間データベースの収集を行った.具体的には,国勢調査小地域統計,国勢調査(メッシュデータ),数値地図全種,国土数値情報,細密数値情報,住宅地図の各データを購入もしくは借用した.さらに,これらのデータについてデータ形式や投影法等を整理し,データ交換・管理システムの要件抽出,メタデータ構築の試行,視覚化システムのプロトタイプ開発を実施した.
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