研究概要 |
本研究では,人文社会科学において用いられる様々な種類の空間データを複合的に利用するために,空間データを管理・共用・伝達するシステムの開発を行っている.平成11年度までには,主に空間データ共用システム,空間データクリアリングハウスの開発を行ってきた. 昨年度までの研究を受け,本年度はまず,空間データ共用システム,空間データクリアリングハウスの改良を実施した.空間データ共用システムについては,ユーザインターフェースの改良とユーザ管理システムの簡略化を行った.空間データクリアリングハウスについては,データ検索機能の強化,XMLファイルの直接検索への対応,検索結果の集約表示などを実現した.また,クリアリングハウスの分散化へ向けて,システムの方式を比較検討した. また,複数データを組み合わせた分析手法の一つとして,面補間法によるデータ推定誤差の検討を実施した.4つの代表的な面補間法を取り上げ,それらの精度を数値シミュレーションによって比較した.この結果,場合に応じた面補間法の選択が可能となり,多様な空間データを組み合わせた分析がより行いやすくなる. さらに,多様なデータの管理・共用に対応するために,精度の非常に低い,歴史的空間データのデジタイズと基本的性質の把握を行った.ここでは特に,明治期の道路ネットワークデータをベースマップとして取り上げ,江戸期の地誌における記述や村江図などの情報を組み入れ,江戸期道路ネットワークデータベースの構築を試みた.
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