研究課題/領域番号 |
10202205
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高阪 宏行 日本大学, 文理学部, 教授 (60092516)
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研究分担者 |
小池 司朗 国立社会保障・人口問題研究所, 研究員
関根 智子 日本大学, 文理学部, 助手 (90297763)
荒井 良雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50134408)
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キーワード | 近接性 / 安定度 / 空間的相互作用モデル / 空間分析 / 昭和初期 / 人口分布 / メッシュデータ / 5万分1地形図 |
研究概要 |
人文地理学における分析手法の高度化を研究した。一つは、都市施設への近接性の空間的分析であり、千葉県松戸市における眼科医院を事例とした。町丁・字の中心から眼科医院への最短道路距離を測定し、近接性の測度とする一方、この測度の安定度を、空間的選択数の変更(第2近隣施設の考慮)、測定地区の地域単位の細分化(100メートル・メッシュ)、診療時間の考慮、の三つの側面から分析した。第二は、空間的相互作用モデルによる顧客流動の分析である。東京都と神奈川県の主要なスポーツクラブの位置データ、属性データを入手するとともに、ある企業の13店舗に対する町丁・字別の顧客数、性別、年齢層別データから、同モデルのパラメータを推定した。そして、新規店に対し位置、規模、機能をモデルに入力し、新規店の顧客数を予測するとともに、現実の顧客数と比較した。その結果、このモデルは、非常に高精度で顧客数を予測できることが明らかになった。 都市の時空間構造の分析では、昨年度千葉県と埼玉県を対象として行った昭和初期メッシュ人口推定作業を、今年度は関東地方全域(明治期推定と同じ範囲)に広げて行った。これにより関東地方においては、1890年(明治期)・1930年(昭和初期)・1970年・2000年と、明治期以降30〜40年間隔で4時期のメッシュ人口データベース整備が完了した。昭和初期の推定結果からは、明治期との比較として、(1)東京西郊(山の手)地域における人口急増、(2)主要交通手段の変化に伴う人口中心地の立地移動、(3)都心部における明治期とほぼ同様の高人口密度、といった点を明らかにすることができた。他に、鉄道の結節点となった駅周辺における一定の人口増加も認められたが、際立った人口増加は都心から約20km圏内に限定されており、3期間の中では1930年から1970年の40年間における人口分布変化が最大であることも改めて確認された。
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