研究課題/領域番号 |
10203201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
澤田 安樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90115577)
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研究分担者 |
大野 裕三 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00282012)
江澤 潤一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90133925)
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キーワード | 量子ホール効果 / 複合ボソン / 活性化エネルギー / 層間コヒーレント / ボーズ凝縮 / ガリウム砒素 / ホールプラントー / スピン |
研究概要 |
量子ホール状態は、非対角長距離秩序状態を表すラフリンの波動関数によって記述でk、複合ボソンモデルに立脚すると非圧縮性のボーズ凝縮状態とみなすことができる。2層系量子ホール状態において密度差の自由度が存在し、層間コヒーレンス性の存在が期待できる。我々は層間コヒーレンスの存在を調べるために、2層系試料を磁場中で回転し活性化エネルギーの横磁場依存性を調べた。あらゆる電子密度差で安定な量子ホール状態υ=1および低電子密度のυ=2は、コヒーレンス性が存在するときに期待される特徴的な横磁場依存性を示した。この結果は、これらの量子ホール状態は密度差と位相差を同時に変えても安定であることを意味し、層間コヒーレンスが存在することを強く示唆している。横磁場が小さいときコメンシュレイト相と呼ばれる位相差勾配の存在する状態をとり、横磁場が大きくなるとインコメンシュレイト相と世ばっれる位相差勾配のない状態へ相転移をする。υ=1のスピン状態は、コメンシュレイト相で偏極、インコメンシュレイト相で非偏極、υ=2はコメンシュレイト相で非偏極、インコメンシュレイト相で偏極であることが明らかになった。このことは、エネルギーレベルの入れ替わりが、コメンシュレイト=インコメンシュレイト相転移点で同時に生じていることを示す。
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