研究概要 |
本研究は、超流動ヘリウム3薄膜の研究を目的とする。インターディジタル(ID)電極を用いたヘリウム膜の流動性を調べるための新しい方法を応用した研究である。 ID電極を載せた基盤を垂直に置いたセルを作成し,基盤の-部が常に液体ヘリウムに浸るように工夫した.ヘリウム4を用いた測定を行い,水平に置いた場合と同様な信号をえることに成功した.水平に置いた場合と比較して,重力ポテンシャルの影響と考えられる現象が見られたため,その影響について詳細を調べている.ID電極を用いた第3音波の測定ではID電極の周期に対応する比較的短波長の波が励起されるために,ヘリウム3では減衰の効果が大きいことが予想される.そこで,2重ロックイン法を用いて,ID電極全体に整合する波長の波を励起する方法を試みたところ,良好な結果を得ることができた. 2次元電子のプラズマ共鳴による超流動^3He表面の測定を行い,フェルミ系である^3Heとボース系である^4Heの間に大きな違いがあることが分かった.粒子の統計性がどのような機構によって表面の性質に反映されるのか,理論的な究明を行った.現在のところ,実験結果を矛盾なく説明できる理論の構築にはいたっていない.
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