研究概要 |
今年度は主に直径約20Aの真っ直ぐにのびた1次元トンネル中の4Heにおける1次元Bose流体の実現,および2次元的吸着面を持つヘクトライト上吸着4Heの超音波吸収の研究を行ってきた. 直径18Aの1次元メゾ多孔体中4Heについては、吸着圧力測定から細孔壁面上に,超流動を起こさない固体の層とその上に超流動を起こす液体層が作られることを先ず明らかにした.吸着圧力からはさらに液体層の4He原子の吸着エネルギーと液体層の等温圧縮率を測定した.低温比熱では液体層が温度に比例することを見いだし,液体の1次元フォノン比熱と理解された.そしてこの比熱の密度依存をオンサイト斥力相互作用のある1次元ボース粒子系についてのLiebの厳密解との比較を行い,4He液体層における相互作用の大きさを求めた. ヘクトライト上4Heについては,約10MHzで超音波測定を行い,超流動が存在する吸着量で,超流動に起因して10MHzの基盤振動にたいしてHeがスリップすることを見いだした.また超流動液体層が存在していない少ない吸着量では,低温では吸着原子がスリップし,高温で吸着原子が基盤とともに振動することを見いだした.このクロスオーバー温度領域では超音波吸収がみられた.この現象については他の原子のナノ摩擦現象との関連性を現在追求している.
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