研究課題/領域番号 |
10203208
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大見 哲巨 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025435)
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研究分担者 |
中原 幹夫 近畿大学, 理工学部, 教授 (90189019)
池田 隆介 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60221751)
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キーワード | 超流動ヘリウム3薄膜 / 超流動転移温度 / トポロジカルな欠陥 |
研究概要 |
膜の厚さがコヒーレンス長よりも薄い、膜に垂直方向の波数量子化の影響が無視できないような超流動薄膜の物性の研究を昨年に引き続いて行った。 古川と大見は膜の両側の境界条件をスペキュラーと仮定し、引力の機構をパラマグノンとしたときの超流動転移温度と超流動状態での超流動密度、また比熱の温度変化などの計算を行って、つぎのような結果を得た。 1.転移温度は膜の厚さが変化すると量子効果により振動する。さらに、境界条件をスペキュラーとしているため、反射波もクーパー対の形成に参加し、これがP波の引力を大きくするように働く。その結果、転移温度は膜厚が薄くなるとともに高くなる傾向にある。この効果はS波にはなくP波特有の現象でパラマグノンはその効果を強調しているということも示すことができた。 2.超流動密度、比熱ともに、転移温度は振動しても、温度をその転移温度でスケールするとバルクとほとんど変わらない温度変化を示す。ただし、膜の厚さが非常に薄いリミットでは上の傾向からのはずれが目立つようになり、特有の温度変化をすることも示された。 また、もうひとつのテーマである超流動^3He薄膜でのドポロジカルな欠陥とそれに伴う励起の研究は中原達により続けられており、近いうちにその成果を報告する予定である。
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