研究課題/領域番号 |
10204204
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
渡辺 興亜 国立極地研究所, 研究系, 教授 (60111861)
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研究分担者 |
本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20210099)
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 教授 (70135507)
藤井 理行 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (20125214)
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
東 久美子 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (80202620)
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キーワード | 酸素同位体 / 古気候 / 氷床コア / コアー年代 / ドームふじ / 南極 / ダスト / 物質の起源 |
研究概要 |
[1]気温変動解析 気温の指標となる酸素同位体組成と水素同位体組成を、1サンプル当たりの時間分解能が約50年となるように切り出したサンプルについて質量分析計を用いて分析を行った。分析数は、それぞれ約2500と400個である。現在の気温と酸素同位体組成との関係から、気温への変換も行った。この解析結果から、過去34万年をカバーする3回の氷期サイクルの気候変動の詳細が明らかとなった。3回の氷期サイクルにおける気温変動は、10万年、4万年、2万年の周期を持ち、類似した変化パターンを持つことが明らかとなったが、詳細は次のように異なることも明らかとなった。氷期から間氷期にかけての気温の変化はいずれの場合も約8℃と大きく変わることはないが、最終氷期以降の最暖期の気温は二つ前の間氷期(ヤーマス間氷期)の気温に近いが、一つ前(サンガモン間氷期)および三つ前(アフトニア間氷期)の間氷期と比べて約2℃低い。また、氷期における気温変動は、最終氷期(ウィスコンシン氷期)と三つ前のカンザス氷期では約4℃であるのに対し、二つ前のイリノイ氷期では6℃以上と大きい。イリノイ氷期からサンガモン間氷期にいたる氷期サイクルでの大きな気温変化は、これを引き起こす特別な変動機構が働いたことを示唆するものである。また、水素同位体組成と酸素同位体組成から求められる過剰水素同位体組成(excessD)は、寒冷期に大きな値を持つが、これは海洋からの水蒸気の蒸発が同位体として非平衡な状態で起こったことを意味し、寒冷期には大気が極度に乾燥していたことを示唆するものである。 [2]陸域環境変化解析 コアの溶存イオン中のカルシウムイオンと固体微粒子濃度に着目し解析を進めている。 [3]海域環境変化解析 海洋を主要な起源とするナトリウム、塩化物各イオン、メタンスルホン酸(MSA)に着目し解析を進めている。
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