研究概要 |
平成10年度では効率のよい並列スケジューリングを見つけるアルゴリズムをグラフアルゴリズム、特に辺ランク付けアルゴリズムを応用して研究開発を行なった.辺ランキング問題はNP-完全であり,一般のグラフに対してこの問題を解く効率の良いアルゴリズムは存在しないと予想されている.我々はグラフのクラスを限定したとき,効率の良いアルゴリズムを考えた.即ち,与えられた木を,最小のランク数でc-辺ランク付けする多項式時間のアルゴリズムを与える.この結果がIEICE Transactions on Fundamentals ofElectronics,Communications and Computer Sciencesに掲載された.また,もつと広いグラフのクラス,部分k木に対しても我々は最小のランク数でc-辺ランク付けする多項式時間のアルゴリズムを与えた.この成果を国際会議ICCIT'98(Procedings of InternationalConference on Computer and Information Technology)で発表した. 彩色問題もスケジューリング問題によく応用されることが知られている.私たちは部分k-木に対して全彩色問題を解く多項式時間アルゴリズムを開発した.グラフGの全彩色とはGの全ての点と辺をどの隣接する2点,どの隣接する2辺,どの1点とそれに接続する辺も全て異なる色になるように彩色することである.与えられた部分k-木の最小色数を用いた全彩色を求める多項式時間アルゴリズムは今まで知られていなかった.私たちはそのような最初のアルゴリズムを与えた.この成果を国際会議WG'98(Proceedings of the24th International Workshop on Graph-Theoretic Concepts in Computer Science)で発表した.
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