研究概要 |
非同期分散アルゴリズムについては、非同期共有メモリーモデル上で相互排他問題とκ-排他問題を解くいくつかのアルゴリズムを提案し、それらの正当性と効率解析を行なった。前者の問題についてはPetersonの提案したn-processアルゴリズムを簡単な修正により、各プロセスが共有資源の使用を要求してからその使用許可がおりるまでの最悪の時間を短縮できることを示した。この結果はParallel Processing Letters(Vol.9,NO.4,pp.475-485,2000)に掲載された。相互排他問題の自然な拡張としてκ-排他問題が提案されている。この問題では、共有資源の並行使用の許可を高々κ個のプロセスに与えることができる。今までの結果はタイムスタンプを用いる方法が主流である。我々が提案したアルゴリズムはタイムスタンプを用いない方式である。また、このアルゴリズムでは高々κ-1個までの停止型のプロセス故障に対してもロックアウトが生じないことが保証される。これらの結果は電子情報通信学会コンピュテーション研究会(2000年11月)で発表した。 情報セキュリティに関しては、ランダムに配布したカードを用いて階層構造のある条件を満足するように全域木を構成し、この全域木上で上位から下位に秘密ビットを伝達する問題の定式化と配布されるカードの枚数に関して、このような全域木が構成できるための十分条件を与えた。この結果は11th International Conference on Algorithms and Computation,Taipei,Taiwan,2000年12月で発表した。また、公開鍵暗号システムの安全性の1つの定義を提案し、従来の安全性の定義と比較した。
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