研究概要 |
本年度の研究においては,昨年度の研究で成果をあげた整数計画に関わる単体的複体について研究を進め,計算代数と最適化を融合した境界分野における研究を推し進めた.具体的には,整数計画のテスト集合と計算代数のGrobner基底との間の関係に着目し,そこに計算量の概念を持ち込んだ.さらに,計算代数との関係では,本年度の成果として超幾何関数という組合せ論で基本的なものと本アプローチとの関係を明らかにしたことが上げられる.これらの結果を国際会議において発表する予定である. また,従来に引き続き,単体的複体構造を基本とするVoronoi図のクラスタリングヘの展開について,成果をジャーナルに発表した. また,困難問題を解くための新たな計算パラダイムについても調べ,特に量子計算における整数計画の可能性について,量子計算理論・量子情報理論における最適化アプローチということで調べ,その方面への展開も図れた.第一に,シミュレータを開発してシミュレーションを通しての検討を行い,デコヒーレンスというエラーのシミュレーションを実際的観点から行い,そこでの考察をもとに半定値計画と量子計算との新たな関係を明らかにした.これらも,「アルゴリズム工学」特定領域全体でのアルゴリズムデータベースへの貢献も目指すものである.
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