研究概要 |
これまで,さまざまな問題に対し,離散問題における構造と計算量に関する研究を進めてきた.本年度は,ネットワーク信頼性に関連したグラフアルゴリズムとして,従来のアルゴリズムで0(n^4)時間要したトーナメントグラフ上の2本の辺素な路問題に対して,0(n^2)時間で解くアルゴリズムを得た.更に,区間グラフ,および,台形グラフ上の要節点を求める並列アルゴリズムについて成果を得た.特に,区間グラフ上で要節点を求める問題が,端末間が直接通信するある種の移動体通信システムにおいて,故障すると中継数が増大する端末を求めることに対応することも明らかにした.また,インターネットやマルチメディアネットワーク等の高度情報通信網の急激な進展により新たに生じた問題に関連して,サーバー,および,そのミラーの配置に関連した供給点配置問題,移動体通信システムにおいて基地局への担当領域の割り当てに関連した隣接制約付き彩色問題,再配置問題の計算量の評価等についても新たな展開を行なった.また,離散幾何学に関連して,ハムサンドイッチ定理の一般化,更に,離散構造を有するゲーム・パズルの解法と計算複雑さについて一般化詰将棋問題がPSPACE困難であることを明らかにした.更に,離散最適化手法を用いた並列,ないし,分散:負荷分散問題の解法についても実用上有用な成果を得た.テキスト自動要約とその周辺の研究も要約に必要な換言知識の自動獲得や2語の係受けを用いた文間の重複部分の認定による要約等について進展を見た.
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