研究概要 |
本研究の目的は,高速,高性能ラウティングアルゴリズムの開発である.本研究では以下の結果を得た. (1)2次元メッシュラウティング n×n個のプロセッサを持ち,キューサイズが定数であるような2次元メッシュ結合計算機モデル上でのラウティング問題を論じた.決定性,無情報,1対1ラウティング問題に対して,これまで線形時間のアルゴリズムが知られていたが,その定数係数は1000以上であった.本研究では,(2.954+ε)n時間アルゴリズムを与えた. (2)コンパクトラウティング コンパクトラウティングとは,各節点の持つラウティングテーブルサイズをできるだけ小さくし,かつ,できるだけ最短に近い経路を通すラウティングのことである.これまでは,妥当なモデルの下で伸長係数(最短経路と実際の経路との比の最悪値)3,テーブルサイズO(n^<2/3>log^<4/3>n)のコンパクトラウティングアルゴリズムが知られていた.本研究では同じモデルを用いて伸長係数が3未満の場合に必要なテーブルサイズがどの程度大きくなるかを調べ,その結果,(i)伸長係数2で各節点のテーブルサイズの上限(n-√<n>+2)lognのアルゴリズムの存在,(ii)伸長係数3未満のどんなアルゴリズムに対しても(n-2√<n>)lognのテーブルサイズが必要となる節点を持つグラフの存在,が示される.テーブルサイズnlognで自明に最短距離を保証するラウティングが可能であるから,それに比べて√<n>logn程度しか減らすことができないことが分かる.
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