研究概要 |
本研究の初年度は,完全双対整数性という観点から離散最適化問題,とくに劣モジュラ関数やマトロイドに関連した最適化問題の一般形である劣モジュラ・フロー問題などの効率的に解ける問題の離散構造を吟味し,アルゴリズムの高速化に向けて研究を行った. 無向ネットワークの最小カットを見出す永持・茨木のアルゴリズムおよびQueyranneによる対称な劣モジュラ関数最小化のアルゴリズムについて、その妥当性を劣モジュラ・システムの観点から吟味し、それらの妥当性の簡単な証明を与え、これらのアルゴリズムの根底にある劣モジュラ構造の本質を明らかにした。これに関連して、さらに、対称な劣モジュラ関数の有する正モジュラ性をより一般化した弱正モジュラ性の概念を導入して、グラフの連結度増加問題に関連して取り扱われる多面体を特殊形として含む多面体のlaminar性を示した. 歪対称行列の最も細かいブロック三角化の階層構造が符号付き半順序構造をなし,符号付き半順序構造が双向グラフの強連結成分への分解によって効率良く計算されることを明らかにした.また,行列束の小行列の最大次数を効率良く計算する組合せ的緩和アルゴリズムを提示した. さらに,部分的に定義されたブール関数を最適に拡張するアルゴリズムを提示し,この問題に関連して二重ホーン関数の概念を導入し,その特徴付けを与えた.また,2-単調な正ブール関数を同定する高速で簡単なアルゴリズムを提案した.
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