研究概要 |
本研究の目的は,ネットワーク最適化問題の解法効率化に関する研究を行うことである.一般的にこの種の最適化問題は総当たり的解法を余儀なくされるため,一つの研究方向として,いかに高速に解くか,あるいは高速に解ける問題の族を発見することがある.他方,問題によっては規模の増大が避けられない場合もあり,これに対しては高速な近似解法の設計がある.今年度の成果としては,著書1件と研究論文21件がある.研究論文21件を内容によって以下の1〜5にまとめる.なお,[]内のそれぞれの数字は,次ページの研究発表の項での(図書を除いた)掲載順を示している. 1.耐故障ネットワーク構成問題に関連して(5件):リンク故障への対応の抽象化である辺連結度に関する辺付加問題について3件[8,13,21],局故障への対応の抽象化である点連結度に関する辺付加問題について2件[14,20],合計5件を発表した. 2.通信プロトコル等の設計検証に関連して(6件):サイフォン(構造的デットロック)検出について2件[5,6],インバリアント算出法について4件[3,9,11,17],合計6件の成果を発表した. 3.スケジューリング問題解法に関連して(6件):その解法の基礎であるペトリネットの発火系列問題について4件[4,7,12,18],トークン数上下限をみたす発火系列について1件[10],時間付きペトリネットのスケジューリングについて1件[2],合計6件の成果を発表した. 4.プリント基板設計問題に関連して(3件):反転配置の禁止された部品を含むグラフモデルの全域平面グラフ抽出法について1件[1],多層配線問題におけるビア数最小化手法ついて1件[15],部品下領域の通過を許す配線手法について1件[16],合計3件の成果を発表した. 5.グラフ描画に関連して(1件):上記の1と4の両方に関連するが,グラフやネットワークに対する所与の制約条件を満たす描画法について1件[19]の成果を発表した.
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