研究概要 |
現在利用されている公開鍵暗号方式が近い将来解読されても,解読に耐えうる暗号系を設計し,インターネットの安全性が確保できることを目指した。計算量や通信効率に関して効率の良い新たな公開鍵方式を設計し,現在の公開鍵暗号方式が適用困難な非接触型ICカードなど,制限された環境にも暗号技術を適用することを目標とした。 主な成果は次のとおりである。 (1)効率の良い計算アルゴリズムの知られていない組み合わせ問題に関して,平均計算量と最悪計算量と違いを調べ,公開鍵暗号の構築および暗号の強度評価を調査した。 (2)楕円暗号とその拡張である超楕円暗号の設計と実装評価を行った。 (3)安全性の証明が理論的に可能な公開鍵方式の設計において、いつくかのあたらな手法を開発し、既存の方式に対する優位性を論じた。 また、数論アルゴリズムに関する国内研究会の発足や暗号国際会議の開催に積極的に貢献し、この分野の研究の活性化に努めた。岡本がプログラム委員長となりアジア暗号学国際会議(ASIACRYPT2000)を12月に京都で開催した。参加者250名とASIACRYPTでは過去最大となった。櫻井はプログラム委員として協力した。世界各国から、著名な暗号研究者が集まり、本研究プロジェクトに関わる研究に関する有益な議論が行なえた。 さらに、岡本が中心となって、日本応用数理学会「数論アルゴリズムとその応用」研究部会(代表者:中村憲@東京都立大学)が発足した。この第一回研究集会が日本大学理工学部で開催された。参加者は100名ほどであり、数学、数論アルゴリズム、暗号理論の各方面の研究者が集まった。櫻井も、"On Recent results on two major number-theoretic problems in public-key cryptography: Factoring vs. RSA"and Discrete Log. vs. Diffie-Hellman"と題した本研究プロジェクトに関わる発表を行なった。
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