広域分散システムのためのアルゴリズム工学

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10205221
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 山下 雅史 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (00135419)
• 研究分担者: 朝廣 雄一 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (40304761) ; 宮野 英次 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 講師 (10284548) ; 藤田 聡 広島大学, 工学部, 助教授 (40228995)
• キーワード: 分散システム / 分散アルゴリズム / 自律分散ロボット / 侵入者発見問題 / 合意形成問題 / 資源配置問題

研究概要

自律的に動作する多数のエージェント(計算機、プロセス、車、ロボットなど)から構成されるシステムを分散システムと呼ぶ。分散システムでは、柔軟性や拡張性を重視して、集中管理のための特別なエージェントや大域的な同期機構を採用せず、各エージェントは、初期情報と、限られた近隣のエージェントとの非同期通信から得られた局所情報だけに基づいてその振舞を決定する。エージェントの振舞いを定める分散アルゴリズムの設計の主要な困難さは、局所情報だけを入力として、大域的整合性のある決定を求める所にある。
本年度は最終年度に当たっており、昨年までの成果を踏まえて論文リストにその一部を掲げた様々な成果を上げた。具体的には、1)自律分散ロボットシステムにおける侵入者発見問題、協調搬送問題、2)広域分散計算機網における資源配置問題、3)並列化コンパイラへの実装を考慮したプログラムの並列計算時間の下限評価、といった問題を考察し、その結果を公表した。
しかし、本年度の最大の成果は、論文としてはまだまとめていないが、一般化割り当て問題を解決する並列局所探索アルゴリズムであり、これをPVMを用いた分散環境で実行することを目指した、長時間分散アルゴリズム実行システムの開発である。まだ実験は始まった所であるが、すでに現在知られている解よりも良い解が比較的短時間に見つかっており、今後、システムを改良することにより、計算困難問題の現実的な解法の一つとして有力であることが実証されると期待している。

研究成果

• [文献書誌] T.Nakata,H.Imahayashi,and M.Yamashita: "A Probabilistic Local Majority Polling Game on Weighted Directed Graphs with an Application to the Distributed Agreement Problem"Networks. 35・4. 266-273 (2000)
• [文献書誌] S.Fujita,M.Yamashita,and T.Kameda: "A Study on r -Configuration - a Resource Assignment Problem on Graphs"SIAM J.Discrete Mathematics. 13・2. 227-254 (|200)
• [文献書誌] S.Fujita and M.Yamashita: "Approximation algorithms for multiprocessor scheduling problem (invited survey paper)"IEICE Trans.Information and Systems. E83-D・3. 503-509 (2000)
• [文献書誌] 山下雅史: "分散計算における対称性(招待解説論文)"電子情報通信学会論文誌D-I. J83-D-1・1. 26-35 (2000)
• [文献書誌] Y.Asahiro,E.Chung-Hui,A.Mali,S.Nagafuji,I.Suzuki, and M.Yamashita: "Distributed Motion Generation for Two Omni-Directional Robots Carrying a Ladder"5th International Symposium on Distributed Autonomous Robotic Systems. 427-436 (2000)
• [文献書誌] K.Makino,M.Yamashita,and T.Kameda: "Max- and Min- Neighborhood Monopolies"Lecture Notes in Computer Science 1851. 513-526 (2000)