本研究の目的である高性能近似アルゴリズムにおけるネットワークフローと半正定値計画法の有用性とその限界の究明を達成するため、以下の研究を実行した。 1. ネットワークフローアルゴリズムはアルゴリズムの主テーマであり、今年度のSTOC、 FOCSでも、より高性能なアルゴリズムが発表されていたので、最新の研究動向を高性能近似アルゴリズムの観点から調査し、分類・整理した。 2. 半正定値計画法における多項式時間のアルゴリズムおよび関連する凸計画問題や固有値最小化問題の最近の研究動向を高性能近似アルゴリズムの観点から調査し、分類・整理した。 3. 高性能近似アルゴリズムで用いられてきた従来の手法を調査・分類・整理した。同時に、ネットワークフローおよび半正定値計画法に基づく高性能近似アルゴリズムの最近の研究動向を研究調査し、これらの手法の可能性および限界を分類・整理した。 4. 組み合わせ最適化問題、特にネットワーク問題や幾何学的問題に対して、ネットワークフローおよび半正定値計画法に基づく高性能近似アルゴリズムを提案し、その性能と計算量を理論的に解析した。同時にその限界も詳細に検討した。 5. 提案したネットワークフローおよび半正定値計画法に基づく高性能近似アルゴリズムの実用性を性能および計算量の観点から検証するために、プログラミングし、ワークステーション上で大規模なデータのもとで計算機実験中である。さらに、得られた成果を学術論文として情報処理学会、電子情報通信学会、日本オペレーションズリサーチ学会および国際会議等で発表すると同時に、内外の研究者、特に総括班のメンバーの批評を整理した。
|