研究分担者 |
上原 隆平 駒澤大学, 自然科学教室, 講師 (00256471)
陳 致中 東京電機大学, 理工学部, 助教授 (00242933)
谷 聖一 日本大学, 文理学部, 講師 (70266708)
斉藤 明 日本大学, 文理学部, 助教授 (90186924)
夜久 丈夫 日本大学, 文理学部, 教授 (90102821)
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研究概要 |
本研究では,グラフ論的な計算問題の中でおもに到達可能性判定問題(連結性判定問題),グラフ同型性判定問題,グラフ認識問題などの計算量を分析するとともに,効率的なアルゴリズムの設計を行った.到達可能性判定問題については,pathwidthを弱めたグラフ不変量として分割幅と呼ばれるものを定義し,分割幅が定数で抑えられるグラフのクラスに対して決定性対数領域限定のアルゴリズムが設計できることを示した.次に,木幅が定数で抑えられるグラフのクラスに対して,グラフ同型写像の個数を計算する問題を考察し,この問題に対して多項式時間アルゴリズムを設計した.グラフ認識問題については,地図グラフの認識問題と一般化されたchordalグラフの認識問題について考察した.地図グラフについては,境界点を接する国の数が高々四つのときには,効率のよい認識アルゴリズムが設計可能であること,ならびに,地図グラフからもとの地図の構造を復元するための効率的なアルゴリズムが設計できることを示した.また更に,隣接関係だけでなく,ある国領域が他の国領域に完全に含まれている場合を(領域の)支配関係として定義し,隣接関係と支配関係を情報として持った地図グラフから,ある場合には,もとの地図の構造を効率よく復元できることを示した.chordalグラフはグラフ理論においてよく研究されているものであるが,本研究では,chordの存在性を要求する閉路の長さを制限することによって,このクラスを拡張し,拡張されたchordalグラフの認識問題の計算量を解析した.この研究では,ある定数以上の閉路が常にchordを持つことを要求されたグラフのクラスに対しては効率的な認識アルゴリズムが設計できることを示した.一方,閉路の長さ(の下限値)を頂点数に近づけた場合には,認識問題の計算量がNP完全になってしまうことを示した.
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