研究課題/領域番号 |
10206201
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大峰 巌 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60146719)
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研究分担者 |
松本 正和 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (10283459)
斉藤 真司 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70262847)
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キーワード | 水素結合 / 水 / 集団運動 / 揺らぎ / 非線形分光 / ポテンシャルエネルギー面 / 氷化 / ダイナミックス |
研究概要 |
我々は(I)水素結合ネットワークの構造変化に伴う、水分子の集団運動と揺らぎ、またそれらが実験として如何に観測され得るか、特に、超高速高次非線型分光にそれが反映されるか(II)水の氷化に伴うポテンシャルエネルギーの大域的構造。乱れた水素結合ネットワーク構造を持つ液体の水が、温度の低下とともに如何に結晶の氷に凍るかについて研究を進めている。 水の中での水分子の運動は、水素結合のネットワークの影響をうけており、一般の液体の運動の様相とは非常に異なり、水には大きな構造揺らぎが存在する。従来の実験手段では分子が相関をもって「ある方向」をもって運動していること、即ち「分子の機能性、選択を生んでいる位相空間ダイナミックス」を記述また観測するのには十分とは言えない。高次非線型分光は系の位相空間ダイナミックスを捕えることが可能である実験手段である。しかし現状に用いられている5次の非線型分光ではモード間の結合によりエコーシグナルが相殺されてしまっており、位相ダイナミックスの情報がとれない。さらに高次または孤立モードの観測手段の開発の可能性を探っている。 また氷化については(A)氷化に関する水の系の大域的ポテンシャルエネルギー面の様相(B)液体の水の中に1〜数ユニットの小さな種(たね)を入れた系の結晶の成長の様相を探っている。 特に後者では、ある長さの導入時間(induction time)の後に瞬間的に大きな氷ができること、即ち或る位相が揃ったところで急激に構造化することを見つけた。現在、その位相の実体、また氷化の瞬間の熱散逸の問題などを調べつつある。このような水の氷化い関して熱力学量として充分な統計性を取り、結晶化に関する自由エネルギー面をあるオーダーパラメーターに対して求める必要があり、その研究も行っている。
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