研究課題/領域番号 |
10207205
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
張 紀久夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60013489)
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研究分担者 |
石原 一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
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キーワード | 誘起分極 / 縦横分裂 / サイズ量子化 / 遮蔽効果 / 表面誘起電荷 / 縦横混合モード / 表面モード / 輻射補正 |
研究概要 |
単一微粒子の光学応答を考える際に、誘起分極による縦横分裂エネルギーを正しく取り入れたサイズ量子化準位構造と各準位の縦型・横型・縦横混合型を議論した研究はこれまでなかったので、光学応答を計算するための準備としてこの問題を考察した。先ず初めに、バルク結晶ではよくわかっている分極エネルギーの表現を、閉じ込め系を含む一般的表現に書き換える問題を考察し、誘起分極電荷密度の間のクーロン相互作用と表現すれば、過去の様々な取り扱いを含めて、すべての場合に直接当てはまることを明らかにした。この定式化を利用して、球や円筒形の微粒子に重心閉じ込めを受けた励起子の準位構造を計算した。その際、共鳴準位に伴う誘起分極のほかに非共鳴な下地誘電分極の効果も、バルク的な遮蔽効果および表面誘起電荷による鏡像ポテンシャルとして、考慮した。小さな粒子では重心運動エネルギーのサイズ量子化で大勢が決まっているのに対して、大きな粒子では分極の相互作用エネルギーが主要な寄与をすること、特別な場合を除いて、大部分の量子化準位が縦横混合モードであること、一つの全各運動量量子数ごとに一つの表面モードが現れること、縦横混合モードは表面モードと交差する付近でエネルギーやモードの性質に関して異常な振る舞いをすること、等々が示された。次のステップでは、この結果を用いて横波電磁場が存在する場合の応答スペクトル計算を行う。 また、微粒子状の分子結晶や誘電体球に付着・吸蔵された分子の光学スペクトルを扱う前提として、単一の誘電体球により輻射場が変調されているとき、その近傍の分子が受ける共鳴エネルギーの輻射補正(シフト及び幅)や新しいモードの形成について考察した。
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