研究課題/領域番号 |
10207206
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)
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研究分担者 |
枝松 圭一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (10193997)
野坂 芳雄 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30134969)
水野 健一 甲南大学, 理学部, 教授 (80068139)
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キーワード | 有機超微粒子 / 半導体超微粒子 / 単一微粒子分光 / 配列微粒子 / 励起子の次元性 / 微粒子表面電荷 / コロイド合成 / 微粒子間相互作用 |
研究概要 |
2年度は有機微粒子、半導体微粒子、有機無機ハイブリッド微粒子の作製と、単サイズ微粒子からの蛍光測定を行い、微粒子中の励起電子状態とその自己束縛や微粒子の界面を介した相互作用について実験、理論両面から研究した。 1.伊藤は、(1)中西らによって開発された再沈法によりペリレン微粒子を作製し、近接場分光を用いてサブミクロンスケールの微粒子の形状と蛍光スペクトルの同時観察に成功した。(2)サブミクロンのポリスチレン微粒子からなる配列結晶のフォトニックバンドの観察を行い、近接場像の波長依存性との関係を初めて明らかにした。 2.水野は、(1)有機結晶超微粒子の光吸収スペクトル形状について、超微粒子の電子準位間隔と格子振動エネルギーの大小関係で各準位が孤立準位として観測されたり、ゼロフォノン線以外は幅が広がって観測され難くなることを実験理論両面で明らかにした。(2)分子性結晶の励起子自己束縛の理論研究を行い、非整数の次元を持つ結晶における励起子の自己束縛の深さを調べた。 3.野坂は、(1)固定化した複合型半導体超微粒子の作製を試み、アミノ基を有する有機物で覆ってCdS超微粒子を塩化セバコイルで結合させることにより超微粒子を結合させることに成功した。(2)超微粒子と表面有機物との電子的相互作用について分子軌道法を用いて解析し、芳香環を持つ分子と粒子の伝導帯電子の相互作用により伝導帯のエネルギーが低下することを示した。 4.枝松は、(1)ZnCdSe微粒子、CuCl超微粒子の顕微分光を行い、単一微粒子からの線幅の狭い鋭い蛍光線とその明滅現象を発見した。(2)KI中のCuI微粒子について界面束縛励起子と思われる発光とマトリックスから微粒子へのエネルギー移動現象を初めて観測した。 5.今後は、単一微粒子、微粒子対の測定が可能なCdSサンプルや有機微結晶の作製と微粒子間エネルギー移動の観測などを発展させる予定である。
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