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1999 年度 実績報告書

動的分子認識による精密分離系の構築

研究課題

研究課題/領域番号 10208103
研究機関名古屋大学

研究代表者

岡本 佳男  名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60029501)

研究分担者 原田 宣之  東北大学, 反応化学研究所, 教授 (30006324)
キーワード多糖誘導体 / シクロアルキルカルバメート / HPLC / TLC / キラル固定相 / 分子モーター / CDスペクトル / トランス-シス異性化
研究概要

1.多糖誘導体の不斉識別機構について検討を行うために、様々な手法によりコンピュータシミュレーション行って多糖誘導体と光学異性体との相互作用エネルギーを計算し、HPLCの結果と比較・検討した。その結果、実験結果を支持する計算結果が得られ、コンピュータシミュレーションが機構解明を行う一つの手段となることを明らかにした。また、最近、高い光学分割能を有することを見いだした多糖のシクロアルキルカルバメート誘導体のTLCへの応用を試みたところ、光学異性体の分離能力が高く、かつUV照射により検出可能である実用的なキラルTLCプレートの調製に成功した。TLCによる光学分割の結果はHPLCとよく対応しており、このプレートを用いることでHPLCにおける分離条件を短時間で手軽に求めることが可能になると考えられる。(岡本)
2.物質科学研究の究極の目的の一つは「分子機械」の開発である。そこでは1個の分子が機械として作動する。我々は分子機械である「光動力キラル分子モーター」を世界で初めて開発した。この分子モーターは光動力機構をもち、また「ツメ歯車効果」により回転方向の制御に成功している。我々は先にねじれたオレフィン化合物の化学を報告してきた。また、光トランス-シス異性化で異常な片道反応を見いだした。今回、トランス型分子の光反応に実は不安定な1次生成物が存在することを見いだし、これが安定なシス体に変化する。これが片道通行となり、「ツメ歯車効果」として逆回転を阻止する。シス分子も同様のことを繰り返して、結局一回転して原形にもどる。この際、回転方向は分子のキラリティーにより制御される。光照射を繰り返すことで連続回転し、その事はCDスペクトルで実証できた。(原田)
3.研究課題に関係して公開シンポジウムを開催し、各研究者がこれまでに得られた結果について発表を行い、さらに今後の研究の進め方について討論した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T. Kubota: "Tris(cyclohexylcarbamate)s of Cellulose and Amylose as Potential Chiral Stationary Phases for High-Performance Liquid Chromatography and Thin-Layer Chromatography"J. Am. Chem. Soc. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] C. Yamamoto: "Computational Studies on Chiral Discrimination Mechanism of Pheynlcarbamate Derivatives of Cellulose"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 72. 1815-1825 (1999)

  • [文献書誌] C. Yamamoto: "Enantioseparation by Using Chitin Phenylcarbamates as Chiral Stationary Phases for High-Performance Liquid Chromatography"Chem. Lett.. 1. 12-13 (2000)

  • [文献書誌] R. W. J. Zijlstra: "Chemistry of Unique Chiral Olefins. Part 4. Theoretical Studies of the Racemization Mechanism of trans- and cis-1, 1', 2, 2',3, 3', 4, 4'-Octahydro-4, 4'-biphenanthrylidenes"J. Org. Chem.. 64. 1667-1674 (1999)

  • [文献書誌] N. Koumura: "Light-driven Monodirectional Molecular Rotor"Nature. 401. 152-155 (1999)

  • [文献書誌] N. Koumura: "Synthesis, Circular Dichroism, and Absolute Sterochemistry of 1, 1', 2, 2',3, 3', 4, 4'-biphenanthryl"Enantimoer (印刷中). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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