研究課題/領域番号 |
10208203
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
細見 彰 筑波大学, 化学系, 教授 (00004440)
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研究分担者 |
直田 健 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (20164113)
岩澤 伸治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40168563)
奥 彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50027885)
三浦 勝清 筑波大学, 化学系, 講師 (20251035)
北條 信 筑波大学, 化学系, 助教授 (50229150)
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キーワード | 1、3-双極子反応剤 / 立体化学制御 / 双環性オキソニウムイリド / 還元的メタル化 / 有機ケイ素化合物 / ビニリデン錯体 / アリルマンガンアート錯体 / 有機ランタニド化合物 |
研究概要 |
本研究課題で今年度得られた成果を以下に示す。 本研究では有機金属化学の新分野を担う合成化学研究として、(1)合成化学的に重要であるが他の方法では得難い反応活性種であるカルボニルイリドなどの種々の活性種前駆体となる新規有機ケイ素、ランタニド化合物をデザイン合成し、その基礎的な反応性を明らかにし、これら1、3-双極子と金属とのこれまで知れていない相互作用を利用して、立体化学制御を一部達成した。(2)これら新規1,n-脱離反応や新規有機反応の普遍化を図るとともに、生理活性天然有機化合物の実践的かつ高選択的合成法を開発し、立体制御法を開発し、その有用性をさらに高めた。(3)多官能性高配位ケイ素、マンガン、銅化合物の創製と反応の高次立体制御を行い、天然物合成の鍵段階となる実用的な基本炭素骨格構築法を開発することに一部成功した。高配位有機ケイ素、マンガン、銅化合物を用いた立体制御や不斉反応を一部発見した。特に1、3-双極子の立体制御に金属の関与を明らかにし、金属-1、3-双極子相互作用の本質を解明する努力を行った。(4)分子内に環状エーテルを持つカルベノイドを出発基質として設計し、分子内反応で生じる双環性オキソニウムイリドの歪み開放とプロトン化を鍵として多様な求核剤との反応を行い、従来は煩雑な手法を必要とした中員環エーテル骨格の合成により高効率で収束的な手法を提供することを試みた。(5)反応活性種として6族金属のビニリデン錯体に着目し、これを活性種とする新しい形式の末端アセチレン化合物の活性化法を開発し、有用性の高い高選択的炭素骨格形成反応を実現することに一部成功した。(6)酸化的付加や還元的脱離に代表される遷移金属の不活性基質との強い電子移動能力を生かして、従来塩基を用いて行われてきたアルドールやマイケル型反応等の炭素-炭素結合形成反応を触媒的に中性条件下で行わせる塩基代替型の新規触媒反応の開拓とそれを基盤とした位置および立体化学の高次制御を目指して、特に錯体化学的検討を中心に行った。
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