研究課題/領域番号 |
10208205
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
西口 郁三 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20026347)
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研究分担者 |
大森 秀信 大阪大学, 薬学部, 教授 (90028845)
野中 勉 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (00016528)
前川 博史 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70283041)
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キーワード | 金属マグネシウム / 電子移動型反応 / 高立体選択的 / 高位置選択的 / 炭素-アシル化反応 / 炭素-シリル化反応 / クマリン誘導体 / ジハイドロピリジン類 |
研究概要 |
本研究では、芳香族α,β-不飽和カルボニル化合物としてクマリン誘導体を用いて、入手が極めて容易な市販のグリニャール反応用削状金属Mgを何の前処理も施さずに存在させて位置選択的な炭素-アシル化反応を行えば、アシル基と水素原子がトランス付加した、熱力学的に不利な立体異性体が92-98%の高い立体選択性を有して得られる事が判明した。この結果は、1-シクロヘキセンカルボン酸エチルの電極還元反応による炭素-アシル化反応が、非立体選択的に進行する事と興味深い対比を示している。反応は、Mg金属が3位および4位のアルキル基の反対側から近づいて電子移動が起こり、生成するアニオンラジカルの4位炭素原子にアシル基が金属Mg(またはMg^<+2>イオン)と同じ側から近接し、求電子攻撃する。更に、ほぼ協奏的に第2の電子移動が起こり、生成する3位炭素上のカルバニオンに金属Mgの反対側からプロトン化が起こっていると考えられる。結果的には立体的に嵩高い置換基とシス位(同じ側)にアシル基が導入された立体異性体が圧倒的に多く生成する。 さらに、金属Mgからの電子移動反応による炭素-シリル化反応における立体化学について考察した結果、極めて高い立体選択性有して反応は進行することを見出した。例えば、3-メチルクマリンを過剰のMe_3SiClの存在下にて、金属Mgにて処理すればシス-3-メチル-4-トリメチルシリルジヒドロクマリンだけがほぼ単一立体異性体として、65%の収率で得られた。更に、ジメチル2、3-ピリジンジカルボキシレートをメタノール中Et_4OTs/NH_4Clでの電極還元反応により、定量的に得られる対応する1、2-ジハイドロ誘導体を用いて過剰のMe_3SiClの存在下、金属Mgによる電子移動型炭素-シリル化反応を行えば、極めて高い立体選択的に単一の4-トリメチルシリル-1、2、3、4-テトラハイドロピリジン誘導体が得られた。
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