研究課題/領域番号 |
10208206
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡本 佳男 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60029501)
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研究分担者 |
吉川 正和 京都工芸繊維大学, 高分子学科, 教授 (60158417)
宮田 幹二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029322)
八島 栄次 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50191101)
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キーワード | 多糖誘導体 / 光学分割 / 高速液体クロマトグラフィー / キラル固定相 / 包接結晶 / ステロイド / 膜 / 分子インプリント法 |
研究概要 |
1.キチン誘導体は溶媒への溶解性が低いことから、高速液体クロマトグラフィー用キラル固定相に用いる際に使用可能な溶離液と光学分割能について検討を行った。その結果、ヘキサン/アルコールの順相系で高い光学分割能を有する3,5-ジメチルフェニルカルバメート誘導体は、従来の多糖誘導体では使用できないクロロホルムを溶離液に添加した系で使用でき、光学分割結果の向上も見られた。さらに、水/メタノールの逆相でも高い光学分割能を示し、順相では分割できないラセミ体を分割するなど、用いる溶離液によって異なった光学分割能を有することが明らかとなり、キチン誘導体のキラル固定相としての高い有用性を見出した。(岡本・八島) 2.キラルなホスト分子によるキラルな包接場の構築法を構造学的に調べるとともに、そのような場でのキラル認識とキラル誘導に関する研究を行った。その結果、ステロイドやアルカロイドの場合、らせん集合によるキラルな一次元テープが生成し、この多様な集積で階層構造を作ることが、多数の包接結晶で見つけられた。また、キラル包接場をX線構造データに基づき定量的に理解する方法を提出し、ゲスト依存的な立体融通性を明確にした。さらに、ナフタレンなどの芳香族分子とブタジエン誘導体との有機塩では、キラルな二次元包接場が生成し、ほぼ完全なキラル誘導重合の起こることを確認した。(宮田) 3.不斉認識部位形成候補物質であるオリゴペプチド誘導体を構成する構成アミノ酸残基の絶対配置の不斉認識への影響を検討する目的で、D-体ならびにL-体より構成される2種類のテトラペプチド誘導体(DLDE-誘導体)を新たに調製した。鋳型分子にAc-D-TrpあるいはAc-L-Trpを用い4通りの組合せの鋳型膜を得た。その結果、D-体より構成されるDLDE-誘導体にD-体を鋳型分子として用いた場合D-体認識部位が鋳型膜内に形成されるが、L-体の鋳型分子ではそのような不斉認識部位は形成されない。また、L-体より構成されるDLDE-誘導体を採用した場合、その逆の結果が得られることを明らかにした。(吉川)
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