研究課題/領域番号 |
10208208
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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研究分担者 |
忍久保 洋 京都大学, 工学研究科, 助手 (50281100)
松原 誠二郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90190496)
徳田 昌生 北海道大学, 工学研究科, 教授 (80001296)
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キーワード | トリエチルボラン / ラジカル / 電解 / ハロゲン化ビニル / ニヨウ化サマリウム / α-クロロアルキルスルフィド |
研究概要 |
新規ラジカル生成法の確立と立体制御について交付申請書に記載した研究計画に従って研究を行い次の3つの成果を得た。 1. トリエチルポランをラジカル開始剤として水中でのラジカル反応を検討した。その結果、α-ヨード-γ-ラクトンとフェニルアセチレンやアリルアルコールをトリエチルボラン存在下、水中で反応させると原子移動型のラジカル付加反応が進行することが明らかとなった。α-ヨードラクトンの代わりにプロモトリクロロメタンやヨウ化ベルフルオロアルキルも同様にアセチレンやオレフィン結合に付加する。 2. ハロゲン化ビニルあるいはビニルトリフラートの電解力ルポキシル化反応を行い、移行電子数の規制による立体化学の制御について検討を行った。その結果、(E)-β-ブロモスチレンを、逐次的な1電子還元が行われて中間にビニルラジカルを経由するような条件下で電解を行うと、熱力学的に不安定な(Z)-ケイ皮酸が選択的に得られることを見いだした。一方、Ni触媒を添加して2電子還元が一段階で行われてビニルアニオンが生成される条件を用いることにより、(E)-ケイ皮酸のみを立体選択的に得ることができた。 3. 二ヨウ化サマリウムと有機ハロゲン化物との反応における電子移動過程および有機二亜鉛種と他の金属との交換反応における電子移動過程、この二つの過程における立体制御を行うために、α-へテロ原子置換有機サマリウム反応剤に関する研究を行った。α-クロロアルキルスルフィドに対して二ヨウ化サマリウムを作用したところ熱的に安定な有機サマリウム種が得られた。このサマリウム種はその立体配置が安定であることが明らかになった。
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