研究概要 |
今年度,江口は秦泉寺と弦理論で知られたカラビ・ヤウ-ランダウ・ギンツブルグ対応を調べ、これがカラビ・ヤウ多様体以外の一般のスピン多様体にも拡張されることを示した。また、江口は菅原と共に特異点をもつカラビ・多様体上を伝搬する弦のモジュラー不変な分配関数を求めた。これらの分配位関数はテータ関数の恒等式により全て零になり、時空の超対称性と整合性を持つ。 松尾はbosonic stringのタキオン凝縮を調べ、対称性の破れに関連する一つのシナリオを提唱した。次に境界状態を用いた方法でBoundary CFTの変形としてタキオン凝縮がどのように見ることができるかを議論した。また、藤と共同でPermutation Orbifoldの上で定義された開いた弦のモデルについて境界状態などを定義し弦の場の理論との対応を考察した。 菅原は、AdS_3×S^2上のsupergravityのdual N=(0,4)SCFTを、Sym^N(M^4)(M^4=T^4,K3)上のN=(4,4)non-linearσmodelのquiver projectionとして定義し、BPS stateのスペクトラムの詳細な解析を行った。また、細道とともに、Matrix string theoryの観点から、AdS_3上のmulti-string systemを解析し、とりわけ、short string sectorとlong string sectorの統一的取り扱いと、世界面上のelectric fluxの役割について論じた。次に世界面上N=2のSUSYを持つような一般的なAdS_3 background上で定義されたsuperstring theoryのtopological twistingについて、holographic dualityの観点から研究し、boundaryに作用するspace-timeの位相的共形代数を完全に構成した。 川野は奥山(現KEK)とAdS/CFT対応の予想を用いてN=4超対称性ゲージ理論4点相関関数に寄与するスピノール場が中間状態で交換されるダイアグラムの計算を超重力理論を用いて計算を行った。次に高橋と共同で、背景場上での開弦の場の理論が二つ構成できることを見つけた。一つは非可換な空間上の理論であり、もう一つは通常の可換な上で背景場が先の理論と異なる形で入っているものである。そして、我々は、実際にこれらの見かけ上異なる理論が場の変数変換によって移り合うことができることを示した。
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