研究課題/領域番号 |
10209204
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
風間 洋一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60144317)
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研究分担者 |
九後 太一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00115833)
鈴木 久男 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20192619)
加藤 晃史 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10211848)
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キーワード | Matrix理論 / 拡張された共形不変性 / 超対称Ward恒等式 / モジュラー不変性 / 対称性の破れ / 相転移 / extra dimension / 南部-Goldstoneモード |
研究概要 |
風間は引き続き、Matrix理論におけるD粒子の有効作用の決定に対する対称性の役割についての研究を行った。以前提唱した「拡張された共形対称性」のみでは一般の軌跡に対する有効作用を決定することができないことを明確にした後、超対称性の解析に取り組み、有効理論における超対称変換が直接導ける形で超対称Ward恒等式を導いた。この恒等式からの帰結の解析もほぼ終了しており、近日発表の予定である。 加藤は、M理論の行列模型におけるN→∞極限に関して、弱結合領域における摂動展開の構造に注目し、N→∞極限に由来する発散とゲージ理論における紫外発散の関係を調べ、またスケーリング指数の不等式を議論した。また加藤は佐藤(筑波大)と共にAdS_3空間上の弦理論、特にSL(2,R)対称性に基づいてモジュラー不変な分配関数を構成する研究を行い、離散系列に属する表現だけではそのような分配関数を構成することができず、long/short stringの結合が不可避であることを示した。 鈴木は、主に超弦理論における相転移構造の研究を、主として、その厳密に解けるモデルについて行なった。特に、ヒッグス場による対称性の破れと解釈できる相転移点に注目し、ゲージ対称性が回復する点のまわりでの物理量の計算について、定量的に解析する技術の開発を行なってきた。これは内部空間の幾何学の問題として定式化することができるが、まず第一に、それらに現れる場の量の侯補を系統的に導き出すことができることを示した。そして、最近の論文では、その物理量計算のための新しい手法を開発した。これはゲージ群としてSU(2)などのランクの低いゲージ群に対して実際にその手法を用いて解析することに成功した。 九後は、我々の4次元世界が、より高次元時空中の3次元膜にあると考えるextradimensionのシナリオで、膜の揺らぎの南部-Goldstoneモードの重要性を指摘した。実際これを考慮すれば、bulkのゲージ場の無限個のKaluza-Kleinモードの交換により生ずる発散の困難が避けられることを指摘し、その現象論的帰結を研究した。
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