研究概要 |
本年度は,超対称性を持つゲージ理論の非摂動効果を研究することに重点を置いた。超対称性の低い系でその超対称性を部分的に破っているパラメターを零にする極限をとると,高い超対称性を持つ理論の特定の真空状態に帰着するはずである。この方法を用いると,高い超対称性を持つゲージ理論に今まで入れることが困難であった物質場を取り入れることが可能になる。その際,今までは,対称性だけでは制限しきれない部分を存在しないと仮定することが実際には必要であった。超対称ゲージ理論を実現している系として,超弦理論でのプレーンと呼ばれる広がった実体がある。我々が場の理論の方法での結果と,ブレーンを用いて求めた非摂動効果の結果とを比較すると,今まで無視してきた項が存在しなければならないことが分かった。 ゲージ理論の非摂動論的解析で重要な電場・磁場間の双対変換不変性、及びゲージ理論と弦理論の関係について研究を行った。1)一般の偶数次元における反対称テンソルゲージ場の理論が、双対変換に対して不変であるための条件を求めた。また、非線型シグマ模型を結合させることにより、双対対称性を非コンパクトな群に拡張できることを示した。2)ゲージ理論と弦理論の関係を具体的に示す例として、d+1次元反ド・ジッター時空上の超弦理論とd次元共形場理論の間の双対関係が盛んに議論されている。この関係では、反ド・ジッター超重力理論に含まれる場の無限遠境界上の値は、共形超重力理論の超多重項を組むと予想されている。我々は、この2種類の超重力理論の間の関係をd=2の場合について調べ、3次元超重力理論の局所変換が境界上で共形超重力理論の変換と一致することを示した。
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