研究概要 |
可解な場の理論及び超対称性に関して、次の研究を行った又は行っている。 1. 可解模型のいろいろな方向への拡張 (a) 複数の結合定数を持つ統計力学模型に関して、その部分和級数展開に基づいて、GuttmannとEntingが部分和の解析的な性質と模型の可解性/非可解性との関係について、新しい説を提唱している。8頂点模型について、新しい部分和級数展開の表示とグラフィカルな計算法を与え、彼らの仮説をテストした(研究発表リストの1)。 (b) ある種の可解格子模型について、それらの連続極限をとることができ、可解な場の理論が導かれる。この考察を境界がある可解模型に拡張した。具体的には、open XYZスピン鎖とboundary sine-Gordonとの関係を導いた(研究発表リストの2)。 (c) 零質量のフェルミオンを格子上に乗せる問題に関して、格子上の可解な2次元のカイラル・フェルミオン模型(Gross-Neveu,U(N)Thirringなど)及び超対称な模型の研究を進めている。 2. 超対称なゲージ理論及びトポロジカルな場の理論 (a) 4次元超対称ゲージ理論の双対性に関する研究として,円周上にコンパクト化した5次元超対称ゲージ理論から得られる4次元有効理論を解析した。有効理論を決定するプレ・ポテンシャルが得られた(研究発表リストの4)。 (b) 質量のない物質場と相互作用するN=2超対称ゲージ理論から構成される位相的ゲージ理論について、双対性を利用して,その位相的分配関数(Donaldson-Witten関数)を計算した。とくにSeiberg-Witten理論から得られる楕円曲線のモジュラー関数を用いた位相的相関関数の表示を与えた(研究発表リストの3)。
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