研究概要 |
1.Al_xGa_<1-x>Asを材料に用い,最新の半導体微細加工技術を駆使して,エアブリッジ型スラブ結晶(準3次元)を作製し,輻射場並びに光の伝播の制御のために優れた特性を示すことを明らかにした。すなわち,スラブの厚さが270nm,格子定数が450nm程度で,空気の占有率が0.50-0.60の範囲で作製したエアホール・3方格子に関して,測定した光透過率スペクトルが理論計算結果と良く一致することを示した。その結果,導波モードが存在し,かつ導波モードでは透過率が事実上100%になる事実,並びに2次元面内で広いバンドギャップが存在することを初めて明らかにした。 2.線欠陥モードをもつエアブリッジ試料を設計,作製し,透過率スペクトルの観測から実際にバンドギャップ中の特定の波長でのみモードが存在し,光が透過することを実証した。 3.光の圧力を利用して,直径1μmのポリスチレン球を規則的に配列させた試料を作製した。現在は配列は一層であるが,我々が初めて導入したこの新しい方法により,数層まで球を配列させる3次元結晶の作製が可能である見通しを得た。 4.鉛ガラス・キャピラリ・2次元結晶を用いて,今年度は後方散乱配置の光第2高調波発生実験を行った。位相整合,並びに小さい群速度における信号の増強現象を見い出した。新しい現象である。 5.上記1のエアブリッジおよび,クラッド付のスラブ型試料の双方で,分散が比較的平坦なバンドにおける群速度をフェムト秒光パルスの伝播時間の観測により測定し,空気中の値に比べて群速度が15分の1程度に小さくなる重要な事実を見い出した。 6.その他,急峻な曲りをもつ種々のフォトニック結晶光導波路試料の作製と特性測定,電子・正孔のパルス光励起によるフォトニック結晶の光透過率の変化を利用した光スイッチの基礎研究,他についても一定の成果を得ている。
|