光波長域にバンドギャップをもつ半導体3次元フォトニック結晶の開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10210205
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 野田 進 京都大学, 工学研究科, 教授 (10208358)
• 研究分担者: 山本 宗継 通産省電子技術総合研究所, 研究員
• キーワード: フォトニック結晶 / 光制御 / フォトニックバンドギャップ / 光機能デバイス / フォトニック結晶スラブ / ウエハ融着

研究概要

本計画研究では、独自のマイクロマシーン技術を用いて光波長域にバンドギャップをもつ半導体3次元フォトニクス結晶を開発することを第一の目的とし、併せて、開発した結晶に発光体を埋め込むことで、輻射場の制御の様子を系統的に調べることを目的としている。本年度の成果は、以下のように纏めることができる。
(1)前年度に、光通信域での4層完全結晶実現に成功したが、本年度は、さらに8層構造の作製に成功し、40dBを越えるバンドギャップ効果の観察に初めて成功した。(2)さらに、フォトニック結晶光回路を構成する要素として重要な、急峻な曲がりをもつ先導波路の初めての試作にも成功した。基本ストライプ幅4μmのストライプ層のうち、中央の2層におけるストライプを一本ずつ除去した層を形成し、それを上下5層ずつの完全結晶で挟み込んだものである。(3)さらに本年度新たな試みとして、2次元結晶に点欠陥を設けた超小型チャネルドロップ光フィルターの提案とその試作に成功した。それと平行して、2次元結晶スラブにおける完全無損失導波モードの条件を理論的に見出した。以上の成果は、米国科学サイエンスおよび英国科学誌ネーチャーに掲載されるなど、国内外の大きな注目を集めることが出来、また数多くの国内外のメディアで取り上げられた。(詳細は、本特定領域News Letter No.2-4参照)さらに、数多くの国内外での招待講演を行った。

研究成果

• [文献書誌] S.Noda,K.Tomoda,N.Yamamoto,and A.Chutinan: "Full Three-Dimensional Photonic Bandgap Crystals at Near-Infrared Wavelengths"Science. vol.289. 604-606 (2000)
• [文献書誌] S.Noda,A.Chutinan,and M.Imada: "Trapping and Emission of Photons by a Single Defect in a Photonic Bandgap Structure"Nature. vol.407. 608-610 (2000)
• [文献書誌] A.Chutinan and S.Noda: "Design of Waveguides in Three-Dimensional Photonic Crystals."Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.39,No.4B. 2353-2356 (2000)
• [文献書誌] A.Chutinan and S.Noda: "Analysis of Waveguides and Waveguide Bends in Photonic Crystal Slabs with Triangular Lattice"Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.39,No.6B. L595-L596 (2000)
• [文献書誌] A.Chutinan and S.Noda: "Waveguides and Waveguide Bends in Two-Dimensional Photonic Crystal Slabs"Phys.Rev.B. Vol.62. 4488-4492 (2000)
• [文献書誌] S.Noda: "Semiconductor Photonic Crystals"Nato ASI, Photonic Crystal and Light Localization, Creta, Greece,. June 18-30. (2000)
• [文献書誌] 野田他: "フォトニック結晶の現状と将来展望-テクノロジーロードマップを目指して-"(財)光産業技術振興脇会. 133 (2000)