介在物の分離・除去

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10211202
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 谷口 尚司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00111253)
• 研究分担者: 上野 和之 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (20250839)
• キーワード: 介在物分離 / 電磁力 / 高清浄金属 / 介在物凝集 / スパイラル撹拌 / 磁気ポンプ

研究概要

平成12年度は、溶融金属中介在物の電磁分離、気泡による分離、および高シェア攪拌による凝集のための基礎研究として、以下の研究を遂行した。また、スパイラル磁場を利用した溶融金属の非接触式磁気ポンプの開発研究も行った。
1.攪拌を伴う溶融Alの凝固過程におけるSiC粒子の電磁分離特性
溶融Al中に分散したSiC粒子の高周波磁場による電磁分離実験を、溶融Alに機械攪拌を印加しながら行った。電磁場印加後、2,10,30秒後に溶湯側面から水冷却し、るつぼ壁への粒子分離状況を調べ、機械攪拌場で電磁分離が有効な条件を明確にした。また、溶湯内でSiC粒子の凝集が進むことを確認し、乱流凝集モデルを適用して凝集による粒径分布の変化を推定した。
2.回転磁場により形成される旋回流による水銀中吹込み気泡の微細化
水銀を円筒容器内で回転磁場により旋回させ、容器側面から吹込んだ気泡が旋回速度とともに微細化することを確認した。本法によって生成される微細気泡によって、微小介在物の除去が可能になる。
3.液体金属用スパイラル磁気駆動・攪拌装置の特性調査
前年度に製作したスパイラル磁気駆動装置により、液体Gaの回流実験を行い、予期した回流性能が得られることを確認した。次年度は更に詳細な性能試験を実施し、高温の金属融体の高効率非接触式磁気ポンプへの応用を検討する。また新たに、液体金属の高シェア攪拌を目的とした4極式スパイラル攪拌用コイルを試作し、これを組み込んだ攪拌装置を試作するとともに、その磁気特性を検討した。
次年度には以上の研究成果を組合わせることにより、微小介在物の高効率除去法の開発を目指す。

研究成果

• [文献書誌] Shoji Taniguchi and Atsushi Kikuchi: "Removal of Nonmetallic Inclusion form Liquid Metal by AC-Electromagnetic Force"Proceedings of the 3rd International Symposium on Electromagnetic Processing of Materials, Nagoya,Japan. 315-320 (2000)
• [文献書誌] Kazuyuki Ueno,Tsutomu Ando,Shoji Taniguchi,Toshiyuki Takagi: "Axial Driving Force Induced by Rotating Twisted Magnetic Field"Proceedings of the 3rd International Symposium on Electromagnetic Processing of Materials, Nagoya,Japan. 491-496 (2000)
• [文献書誌] 安藤努,上野和之,高木敏行,谷口尚司: "回転ねじれ磁場を利用した軸方向駆動装置の開発"日本機械学会東北支部第35期総会・講演会講演論文集. 001-1号. 132-133 (2000)
• [文献書誌] S.Taniguchi and A.Kikuchi: "Separation of nonmetallic inclusions from liquid metal by a-c-electromagnetic force"Poster Proc.of the Brimacombe Memorial Symp., Vancouver, Canada. 183-192 (2000)
• [文献書誌] 安藤努,上野和之,谷口尚司,高木敏行: "回転ねじれ磁場を使った高温溶融金属のための誘導型電磁ポンプ-固体金属円柱を使った予備実験-"日本AEM学会誌. Vol.9 No.2(掲載予定). (2001)
• [文献書誌] 窪田征弘,吉川昇,谷口尚司: "直流電磁力場における非導電性2粒子に作用する電磁泳動力"鉄と鋼. 87巻・3号(掲載予定). (2001)