磁気対流

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10211207
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 尾添 紘之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10033242)
• 研究分担者: 田川 俊夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (90294983) ; 赤松 正人 大分大学, 工学部, 助手 (40315320)
• キーワード: 磁気対流 / ローレンツ力 / ゼーベック対流 / 磁化力対流 / 結晶成長

研究概要

ローレンツ力が作用する系として、カスプ型磁界は、シリコン単結晶成長に対し有望視されている。ここではできるだけ実際に近い条件における磁場印加Cz法融液の流動形態の数値解析を行った。対象とする系はルツボ直径7.5cm、液深3.75cm、単結晶直径3.75cmのシリコン系で、リツボは3rpm、単結晶回転は逆方向に10rpmで回っている。融点は1683K、ルツボ最大温度は1715Kである。これは無次元数でPr=0.013、Ra=3.92×10^5、Re_<cru>=-1596、Re_<cry>=1329で磁場の強さはHa=161が最大値とした。このような場合、まず磁場のない場合は、特性周波数の無い乱流とも言える熱流動場が得られ、4秒毎に温度分析、速度分布もランダムに変化した。ここに上のカスプ磁場を印加すると、規則正しい周期をもつ持続振動が発生した。これは楕円形等温線が周方向に一定の角速度で回転していることから発生することが認められた。
次に、熱起電力(ゼーベック)対流について、立方体容器内の液体金属の自然対流に重畳した効果について計算を行った。これは液の固化に際して樹枝状結晶近くで発生すると言われているものを立方体容器内流体に適用したものである。その結果、低温壁から高温壁に向かう熱起電力と外部磁場とのローレンツ力により、液体金属全体が下方に押し下げられ、その結果、本来下降流が生じるはずの冷却壁に沿っても上昇流ができるという大変特異な流動状況の起こることが予測された。
また磁場勾配下において発生するといわれる磁化力に起因する磁化力対流は、例えば、温度差とか、濃度差が存在しているところに重畳しないと発生しないことを理論的に検討することができ、これに基づいて非等温対流場の基礎モデル式を導き出し、これにもとづいてテスト計算を行った。その結果、磁化力勾配が強くなると、鉛直面内対流が水平面内対流に移行することが予測された。

研究成果

• [文献書誌] H.Ozoe: "Numerical computations for Czochralski convection"Japan-France Coop.Sci.Prog.Seminar on New Aspects of Electromagnetic Processing of Materials,Nikko. 82-85 (1999)
• [文献書誌] Y.C.Won,K.Kakimoto and H.Ozoe: "Transient three-dimensional flow characteristics of Si melt in a Czochralski configuration under a cusp-shaped magnetic field"Num.Heat Transfer,Part A. 36. 551-561 (1999)
• [文献書誌] M.Kaneda,T.Tagawa and H.Ozoe: "Thermoelectric effect on natural convection of liquid metal"12thTaejon/Chungnam-Kyushu Symp.. 309-310 (1999)
• [文献書誌] H.Ozoe: "Melt stirring effect of a weak magnetic field on crystal growth"Progress in Crystal Growth and Characterization of Materials,Pergamon. 38. 239-259 (1999)
• [文献書誌] T.Tagawa,R.Shigemitsu and H.Ozoe: "Influence of magnetizing force on natural convection"International Workshop on chemical,physical and biological processes under high magnetic fields,Omiya. 50-50 (1999)
• [文献書誌] M.Kaneda,T.Tagawa and H.Ozoe: "Seebeck convection of liquid metal in a cube under various directions of the magnetic field"International Workshop on chemical,physical and biological processes under high magnetic fields,Omiya. 51-51 (1999)