磁気対流

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10211207
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 尾添 紘之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10033242)
• 研究分担者: 岩本 光生 大分大学, 工学部, 講師 (80232718) ; 田川 俊夫 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (90294983)
• キーワード: 酸素ガス / 磁化力場 / 超伝導電磁石 / 非定常数値解析

研究概要

超伝導磁場下における鉛直円管内の酸素の対流拡散現象
本テーマは同じ特定領域研究グループ内の浅井滋生(名大)氏との共同研究である。超伝導電磁石のボア内に50mmφ×600mmの円筒容器を入れ酸素を満たした。その後、円筒容器の上下端を大気に開放し、円筒容器中央部で酸素ガス濃度の経時変化を測定した。その結果、磁場がないときは、酸素濃度は200秒で、外気と同じ濃度に急減した。一方、2T,4Tと磁場を大きくしていくと、酸素濃度の減少速度は低下し、10T,12Tではほぼ拡散速度で減少していった。2000秒後に30%位に降下した。
この現象を二次元の連続の式、酸素濃度の保存式、磁化力項を含む運動方程式でモデル化し、この非定常差分近似式を計算機コードで展開し、数値解析を行った。その結果、中央高さにおける酸素濃度の減少特性、は実験結果と極めて類似した特性を示した。さらに、本解析結果を酸素濃度の等高線図にて、時系列に表示したところ、以下のことが判明した。磁場がない時、酸素の分子量は空気のそれより大きいため、上下端開放により、急激に酸素は流出してしまう。ところが、磁場があると、酸素の磁化率が大きいため、円筒上半分が空気、下半分が酸素という状態になった時、大きく磁化力が働き、酸素が中央部に引き戻され、その後振動を繰り返しながら、酸素濃度が、減少していくことが判明した。これは実験事実を極めて良好に説明すると共に、我々の用いたモデル方程式の正しさを証するものとなった。
その他、開放端パイプ内の空気の浮力流れに及ぼす磁化力効果についても検討し、磁化力の効果を数値解析により明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] H.Ozoe: "Effect of magnetic field in Czochralski silicon crystal growth"Modelling of Transport Phenomena in Crystal Growth WIT PRESS. Chapt.7. 201-237 (2000)
• [文献書誌] H.Ozoe: "Numerical computation of natural and mixed convection of liquid metal in a cubical enclosure with a uniform magnetic field"The 3rd Int.Symp.on Electromagnetic Processing of Materials. 73-78 (2000)
• [文献書誌] H.Ozoe,K.Kakimoto,M.Akamatsu,Y.C.Won: "Application of various magnetic fields for melt in a Czochralski crystal growing system"ICTAM2000 (20th Int.Cong.of Theoretical and Applied Mechanics). 191 (2000)
• [文献書誌] M.Iwamoto,M.Akamatsu,T.Nakano,H.Ozoe: "Numerical computation of non-axisymmetric convection in the melt of Czochralski crystal growth"The 1st Asian Conf.on Crystal Growth and Crystal Technology (CGCT-1,2000). 370 (2000)
• [文献書誌] M.Iwamoto,M.Akamatsu,T.Hirata,K.Yamaguchi,H.Ozoe: "Experimental study of natural and forced convection of liquid metal under a rotating magnetic field"Proc.4th JSME-KSME Thermal Engineering Conference. 225-228 (2000)
• [文献書誌] M.Akamatsu,M.Iwamoto,M.Higano,H.Ozoe: "Convectional control in silicon melts under a magnetic field"Proc.4th JSME-KSME Thermal Engineering Conference. 229-234 (2000)