研究概要 |
1. リゾホスホリパーゼはリゾリン脂質を特異的に加水分解する酵素でいくつかのアイソザイムを含み低分子型(24kd前後)と高分子型(60kd前後)に大別される.我々はリゾホスホリパーゼの構造を明らかにするため低分子型リゾホスホリパーゼ(I)を初めてクローニングし,酵素が230アミノ酸から成りGXSXGモチーフを有するエステラーゼファミリーに属するタンパク質であることを証明した. 2. DNAデータベースの中にリゾホスホリパーゼIと似た配列を有するESTを見出し,マウス,およびラットのcDNAをクローニングし,配列を決定したところコードタンパク質は231アミノ酸から成り,リゾホスホリパーゼIと65%の相同性を有し,やはりエステラーゼファミリーに属することを見い出した.大腸菌で発現させたところリゾホスホリパーゼ活性が示され,また我々が先にブタ胃粘膜から精製した第2の低分子型酵素(リゾホスホリパーゼII)の抗体とよく反応し,リゾホスホリパーゼI抗体とは反応しなかったので得られたクローンはリゾホスホリパーゼIIであると結論した. 3. 高分子型についても肝臓から酵素を精製し,抗体を用いてクローニングを行い,酵素が低分子型と相同性を示さず, 564アミノ酸から成りN末側にアスパラギナーゼ相同域を含み,C末にロイシンジッパー,アンキリンリピートを有することを明らかにした.酵素は肝臓と腎臓で発現しており,高分子型酵素が存在することが報告されている心臓,肺には別の高分子型アイソホームが存在していることが推定された.
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