研究概要 |
リゾホスホリパーゼは低分子量型酵素(24kd)とトランスアシラーゼ活性を併せ持つ高分子量型酵素(60kd)に大別されるが,今年度は前にクローニングしたリゾホスホリパーゼIに続いて,新しい低分子量型酵素,リゾホスホリパーゼIIをクローニングした.IIもリゾホスホリパーゼIと同じくエステラーゼファミリーに属し,GXSXGモチーフを含んでいた.リゾホスホリパーゼIについてはGilmanのグループがGタンパク質の脱パルミチル化活性があることを見出したことを踏まえ,さらに解析を進め,ハーバード大Michel博士と共同して酵素にはNO合成酵素のシスティンに結合しているパルミチン酸残基を除去する活性を有していることを証明した.NO合成酵素は脱パルミチル化によって活性化するので,リゾホスホリパーゼには酵素タンパクの脱パルミチル化によって広く酵素活性の調節に関係している可能性が広がってきた.また高分子型酵素についても解析を進め,酵素はリゾリン脂質のsn-1位,-2位から脂肪酸を遊離する活性だけでなく,それらの位置の脂肪酸を別のリゾリン脂質分子に転位する活性を有していることが明らかになった.とりわけリゾリン脂質sn-2位のアラキドン酸を別の分子のsn-1位に転位する活性が強く,従来合成経路が不明であったアナンダミドの前駆体1-アラキドニルレシチンを生成することが示された.
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