研究課題/領域番号 |
10213205
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 一馬 北海道大学, 医学部, 教授 (60188290)
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研究分担者 |
松井 泰 東京大学, 理学部, 助手 (50229407)
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キーワード | 細胞質分裂 / Cytokinesis / Rho / 低分子量G蛋白質 / アクチン系 / 出芽酵母 / プロフィリン / 細胞極性 |
研究概要 |
Rho低分子量GTP結合蛋白質系による、細胞質分裂の制御機構について解析を行い、本年度は以下の成果を得た。 細胞質分裂は、核分裂と同調的に起こる。私共は、Rhoファミリーの標的蛋白質であるBNI1の変異株では、細胞質分裂の異常に伴って、核分裂の方向性にも異常が生じることを明らかにしていた。今回、BNI1変異と合成致死になる変異株をいくつか単離した。この変異は、ダイニン微小管モーターを制御するダイナクチンを構成する因子の遺伝子(PAC遺伝子)の変異であった。これにより、Rho-BNI1-微小管系というシグナル伝達経路が存在することが明らかとなった。さらに、細胞質分裂はアクチン細胞骨格系によって制御されるとの知見にもとづき、アクチン系を制御する新規の遺伝子を多数分離した。現在これらの遺伝子を解析中である。 一方、Rho3は、細胞質分裂や細胞成長における細胞表層伸長を制御している。その標的蛋白質としてExo70(Exocytosisを制御するExocyst複合体の因子)とMyo2(V型ミオシン)を同定した。Rho3は、Exocyst複合体と分泌小胞輸送系であるMyo2の配置を制御することで、細胞表層伸長をコントロールしていると考えられる。また、Rho3のGDP結合型(不活性型)に特異的に結合する因子としてRabファミリーに属するYpt11を同定した。Ypt11と結合する因子を検索したところ、Myo2が同定された。Ypt11とRho3は、Myo2の異なる部位に結合し、Ypt11の過剰発現された状態では、Rho3の過剰発現は、Myo2機能を亢進した。Ypt11とRho3が協調的に働くことで、Myo2活性を制御していると考えられる。また、セプチンは解析細胞質分裂に必須な働きをする蛋白質群である。セプチン機能の異常を抑圧する因子としてRhoのGTPase活性を促進するLrg1を同定した。Rhoファミリーが、セプチン経路を介した細胞極性の転換に関与しているものと考えられる。
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