研究課題/領域番号 |
10214204
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
池中 一裕 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (00144527)
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研究分担者 |
鹿川 哲史 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (50270484)
中平 健祐 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (10260043)
馬場 広子 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (40271499)
岩崎 靖乃 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (40311196)
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キーワード | ミエリン / 電位依存性カリウムチャネル / ランビエの絞輪 / 脱髄性疾患 / オリゴデンドロサイト / 神経伝導 |
研究概要 |
中枢神経系グリア細胞の一種であるオリゴデンドロサイト(OL)の終分化過程に必要な促進性のbHLH型転写因子を検討した。OL前駆細胞株CG4のmRNAよりbHLH型転写因子に対するdegenerated PCR primers を用いたRT-PCRクローニングにより、促進性bHLH型転写因子はMash1であることを明らかとした。また、CG4細胞の核抽出液を用いてゲルシフトアッセイをおこなったところ、Mash1は未分化なCG4細胞ではDNAに結合するが、アストロサイトや成熟OLに誘導したCG4細胞では不活化されていた。これらは、OLの発生のある分化段階においてMash1が中心的役割を担っていることを示唆した。 有髄神経軸索の神経伝導に関与する電位依存性チャンネルはきわめて特徴的な局在を示す。本年度は髄鞘形成と軸索上のチャネル局在の関係をより明らかにするために、node 付近に局在化するNa+チャネル(node)、Capsr(paranode)、K+チャネル、Capsr2(juxtaparanode)の4種類の蛋白質に対する特異抗体を用いて、脱髄、髄鞘異常をきたすマウスにおける視神経および脊髄白質を解析した。その結果、脱髄時にはK+チャネル・Capsr・Capsr2といった髄鞘膜直下の軸索部にある蛋白質の局在化はただちに消失するが、nodeでのNa+チャネルの局在化は髄鞘膜消失後もそのまま残ることが観察された。このような2つのチャネルの局在変化は脱髄における伝導ブロックに関与していると推測された。 髄鞘形成時に発現量が変化する神経細胞の遺伝子を検討した。視神経軸索における髄鞘形成前及び形成後の網膜から全RNAを調製しディファレンシャルディスプレイをおこなった。発現量に大きな変化があった9個のバンドを切り出し、塩基配列を決定した結果、3個については既知の遺伝子と高いホモロジーが認められたが、他のクローンについては認められなかった。
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