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1998 年度 実績報告書

ミクログリアによるシナプス機能の調節

研究課題

研究課題/領域番号 10214205
研究機関国立精神・神経センター

研究代表者

高坂 新一  国立精神・神経センター, 神経研究所代謝研究部, 部長 (50112686)

研究分担者 今井 嘉紀  国立精神, 神経センター・神経研究所代謝研究部, 室長 (20270689)
中嶋 一行  国立精神, 神経センター・神経研究所代謝研究部, 室長 (50175494)
キーワードミクログリア / ATP / プラスミノーゲン / ATP受容体 / P2X7 / シナプス
研究概要

ニューロンは神経活動依存性にシナプスから神経伝達物質をはじめとして様々な分子を放出する。ATPもその一つであり、標的は後シナプスのみならず、周囲のグリア細胞である可脳性が推測されている。本研究では、ニューロン由来のATPがミクログリアの機能、特にシナプス伝達の調節活性を示すプラスミノーゲン(PGn)の分泌機能への作用およびその機構解析を行うことを目的とした。
ラット新生仔脳由来ミクログリア(Micro)は無血清培養下においてPGnをほとんど分泌しないが、ATP(〜100nM)の添加により、10分以内に大量のPGnを放出する。この現象は、細胞内Ca2+キレーターであるBAPTAでほぼ完全に抑制され、逆にイオノフォアであるA23187の作用により強く促進された。これらの結果から、ATPによるPGnの放出活性は細胞内Ca2+の存在と関連することが示唆されたため、次にATPの細胞内Ca2+変動に与える影響を調べた。その結果、ATPは一過性に、また濃度依存性に細胞内Ca2+の上昇を誘導することがわかった。さらにこのCa2+上昇はどのATP受容体サブタイプを介して起こるのか、薬理学的に知られている各種アゴニストおよびアシタゴニストを使用することにより同定を試みた。その結果、Ca2+流入は2-MeSATPによって引き起こされること、αβ-メチレンATPにはその効果が全くないこと、またATP誘導性Ca2+流入はスラミンによって阻害されないこと、などが明らかになった。これらの反応性から、Microはイオンチャネル型ATP受容体のサブタイプP2X7を発現している可能性が強く示唆された。実際、P2X7型受容体の選択的アゴニストであるBzATPにより濃度依存的にCa2+流入が起こり、選択的アンタゴニストであるoATPの前処理によりATPによるCa2+流入は完全に抑制された。従って、ATPによるMicroのPGn放出は主にP2X7型ATP受容体を介して行われると推測された。以上の結果より、ミクログリアはATPを介したニューロンとの相互作用によってシナプス機能の調節に関わると考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kohsaka,S.: "ATP stimulates Ca2+-dependent plasminogen release from cultured microglia." Br.J.Pharmacol.123. 1304-1310 (1998)

  • [文献書誌] Kohsaka,S.: "Microglia-specific localization of a novel calcium binding protein,Ibal." Mol.Brain Res.57. 1-9 (1998)

  • [文献書誌] Kohsaka,S.: "Neurotrophins regulate the function of cultured microglia." Glia. 24. 272-289 (1998)

  • [文献書誌] Kohsaka,S.: "The microglial macrophage response in the neonatal rat facial nucleus following axotomy." Brain Res.813. 241-253 (1998)

  • [文献書誌] 高坂新一: "神経細胞死と機能分子" (株)クバプロ, 175 (1998)

  • [文献書誌] 高坂新一: "神経難病への挑戦-神経細胞を死から守るため-" (株)クバプロ, 163 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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