研究概要 |
高等動植物における液胞・リソソーム系オルガネラ構築に関わる分子群,シンタクシン,低分子量GTPaseを酵母発現系を用いて遺伝子クローニングを行い,さらに機能同定を酵母,動植物両者を有機的に用いることによって進めてきた.これら一連の研究によりマウス後期エンドソーム・リソソーム形成に関与すると考えられるSyntaxin7,mVam2,mVam6などの機能分子を多数同定することができた.Syntaxin7は,その構造,さらに酵母細胞の中での機能より,小胞輸送の際の膜と膜の認識を司る機能を果たすと考えられる.この分子のC-末端側の膜貫通ドメインを欠失した分子(Syn-7TMD)を動物培養細胞で強制発現させると,後期エンドソームが膨潤した形態を示し,初期エンドソームから後期エンドソームへの膜輸送が阻害される.この結果はSyn-7TMDが優性阻害的に機能することを示している. さらに,私達は,以上の研究成果によって蓄積されたエンドソーム・リソソーム系オルガネラの構築に関わる分子の構造遺伝子に改変を加え,Cre recombinaseによって特異的に切断,除去されるようlox P配列を組み込んだ条件的遺伝子破壊変異をもつマウスを作成している.現在,遺伝子改変ES細胞がらキメラマウスを作成しており,Creを時間的・空間的に特異的に発現するマウスと交配することにより,遺伝子機能を失った際のマウス表現型の解析を行う準備を整えた.
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