研究概要 |
エンドソーム・リソソームの形成に機能する分子,syntaxin-7に着目し,この遺伝子機能を欠いたマウスをした.マウスのsyntaxin-7遺伝子(Stx-7)を大腸菌人工染色体ライブラリーより得,遺伝子構造を決定した.Stx-7はマウス第10染色体上,約40-kbpsの領域に存在する.遺伝子は10個のエクソンからなり,イントロンとの境界領域はすべてGT-AG則に従っていた. Syntaxin-7の機能を条件的にknock-outするよう,lox P配列によって組換えが起きるとエクソン部分が切り出せるよう設計した遺伝子断片を作製し,ES cellに電気穿孔法により導入した.改変遺伝子断片の,染色体syntaxin-7座位への相同組み換え率は約10%であった.得られた遺伝子改変胚性幹細胞をマウス初期胚に導入し,胚性幹細胞由来の細胞寄与率が高いキメラマウスを数匹得た.これらキメラマウスのうち,2匹で生殖細胞系列にES cell由来の細胞集団が発生していることが確認できた.遺伝学的な解析を行った結果,lox Pでマークされた染色体syntaxin-7遺伝子座がメンデル比に従って遺伝することが示された.また,floxed alleleのホモ接合体が発生・形態・生殖に影響を及ばさないことが確認できた.今後,lox P特異的に遺伝子組み替えを起こさせるCre遺伝子を導入し,時期・組織特異的に遺伝子機能を欠損させた場合の表現型を解析していく.
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